SILK - The Queen Of Threads

SILK - The Queen Of Threads

最近では、健康や環境、安全性の面でより天然繊維が注目されています。そのお洋服の素材の中で、日本は着物により古代からなじみの深いシルクがあります。

そのシルクについてのお話です。

「蚕ーホワイト女神ボディ」

シルク糸を作り出す唯一の昆虫がかいこです。歴代の皇室の女性も蚕をお育てになっているのはみなさんもご存じの通りです。どうしたらあの光沢のある美しい糸が蚕から私たちに製品となって届くのか興味がありませんか。

あの真っ白な女神ボディを持つ「おかいこさま」は、卵から大人になるまでに1か月ほどかかります。成長するまでの間は、あのホワイトボディそれに値する誰もが頷ける美しい物語があるのです。

蚕は箱入り娘です。長い年月をかけて人に家畜化されたので、他の昆虫のように自然界に放たれても生きてはいけません。人が手をかけて世話をしなければ生きられない昆虫なのです。桑の葉を食べて育ちますが、農薬の付いた桑の葉を食べることが出来ないので食べさせる前には生産した桑の葉を水にしばらく浸して、ふき取ってから与えます。大変なので最近では人口飼料が開発されているというのもわかる気がしますが、開発した人口飼料がグルメな箱入り娘のお口に合うかどうかは疑問ですよね。加えて、うっかり人が汚れた手で触ってしまうと死んでしまうほどです。また、無事に成虫になり、始めに繭の底に当たる部分を作る前に蚕の一生で初めてのおしっこをします。それは繭の中を汚さないためです。やれやれ、筋金入り潔癖症の箱入り娘ですよね。と言う事は、皇室で育ったお蚕様は皇女と呼んでも過言ではないでしょう。

「煌めく糸ー放たれる艶」

由緒正しいお育ちのお蚕様が自らお作りになられた光り輝く糸についてお話しします。「あの糸ってお嬢様の口から出しているんでしょう?」そうみなさん思っているのは間違いなのです。あの女神さまが口から出すとお思いになりますか?アントワネット様ですら、義父のフランス国王の妾のデュバリー夫人にたった一言あいさつをするのを頑なに拒んでいたのです。そうです、元来育ちが良い上にプライドがあります。お蚕様は、日本昔話の「鶴のおんがえし」と同等の美談を持っています。思い出してください、鶴の恩返しでは自分の羽を体から取って織り上げていましたよね。ですので、口から糸を吐くと思いきや体から引き出していたのです。頭を縁起のいい末広がりの8にちなんで八の字に動かして引き出しているのです。体の中で体液だったものが外に引き出される際に繊維化して糸になります。なんと0.02mmの糸です。糸を引き出す時の強弱や角度の違いが糸の性質に変化を与えます。シルク糸の構成は2種類のタンパク質、18種類のアミノ酸は3~6phで人肌と同じ弱酸性です。つまり人の肌に最も近い高品質な天然繊維です。さらに、1本の糸の様に見えますが、ミクロの束で出来ており、その切り口となる断面は三角形になっています。そのためプリズム現象で光を放ち、ミクロの束効果でさらなる輝きと柔らかさが際立つ糸になるのです。素晴らしい糸の美談ですよね。さすがお蚕様です。

「シルクの格付けー品格を表す等級」

シルクというだけで高級品とはイメージしますが、実はシルクにも宝石界の女王ダイヤモンドやお肉の紳士和牛の様に等級による格付けがあります。そのグレード判定基準は世界共通で、不純物の少なさ、糸の均一性、糸の強度、糸の伸張度、羽毛の少なさの5つの観点から決まります。現在、世界中のアパレルで使用されているシルクのほとんどが4A・5A・6Aとなります。4A以下はカジュアルブランドなど一般的にシルク製品とうたわれているものです。5A、6Aともなるとその量はぐっと減り、大変希少で全体の10%以下しかありません。Boutique HANAYAから皆様にご案内しているブランドのシルクは確かな品質を持つシルクです。お蚕さまから始まり、糸になるまでお話させていただいた理由がここでようやく証明できたかと思います。シルクお嬢様はそんじょそこいらのお方ではない「お育ち・立ち居振舞い・爵位」を地で行くお方だったのです。そのため、シルクは「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の様」とデザインにより自在に変化し、どんな時も美しい姿となります。

 

 

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